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第3話 父の決断
【第2話 息子よ、これが「耕作放棄地」の問題だ!のハイライト】 世界遺産の島「屋久島」における「耕作放棄地」の問題点に直面した父子。 父は「耕作放棄地」をどうにかしたいと考えていた。 果たして父のくだす決断とは? 父:ハルオ:「実は前々からな、本当にどうにもできないだろうか?って考えているんだ。」 息子:ハルオjr:「どうにか…って問題が大きすぎるんじゃない?」 父:「確かに全体を見れば屋久島にとって、というよりも農業にとっての大問題だ。けどな、ウチみたいな小さな農家にだって出来ることがあるんじゃないかって思っているんだ。」 子:「いや、でもどうするつもりなの?」 父:「父さんはJAで働いていただろ?その時たくさんの農家にすごくお世話になった。だから、JAをやめた時からJAとは違う形で農家に、農業に恩返しができないだろうか?ってずっと思っていた。」 子:「うん。」 父:「うん。でな、原(はるお)集落の区長になった時に出来ることはしたつもりだった。でもそれは集落という組織があったから出来たことでもあるんだよ。」 解説:屋久島の自治システムは非常に特殊です。自治体である「屋久島町」の中に、各集落がありそれぞれ任意の自治組織を持っています。それは、屋久島の地形や文化によるものですが、それぞれの自治組織である集落は独立した行政単位のように集落民の生活に密接して存在し、活動しています。集落の長が「区長」で集落民の投票によって決まります。区長は集落の組織を運営し、行事を行い、集落運営をスムーズに行う責務があります。 子:「それで?」 父:「(有)原の里も、集落の農家の収入に少しでもなれば、と思って始めたんだ。だから、集落で採れた農産物を販売する会社にしたんだよ。」 子:「それは分かってるけど。で、どうしたいの?」 父:「まあ、聞け。それで、組織とか会社じゃなくて一農家、一集落民として自分がそういう問題に対してなにかできないかって考えていたわけだ。」 子:「うん。」 父:「それでな。実は「耕作放棄地」を持っている農家が、「耕作放棄地」の農園を自分では管理出来ないから誰か管理してくれる人はいないだろうか?って探しているんだ。」 子:「まさか…やるつもりなの?」 父:「そこは、じいさんが亡くなった時から農園が管理できなくなってな。ばあさんも歳で足腰が悪いから管理したくても…ってことなんだ。」 子:「でも、子供もいたよね?」 父:「ああ。でも、別に仕事を持っているからな。実際は難しいだろう。」 子:「それで?やるつもりなのかって聞いてるんだけど?」 父:「やるつもりだ。」 子:「いや、だって会社もあるでしょ?で、ウチの農園だってあるし。」 父:「会社の方は引退する。お前が社長になってくれ。」 子:「は?」 父:「実は会社の出資者にも話をして了解をとってある。みなさん非常に快く返事をくれていたぞ。よかったな、評価されているみたいじゃないか。あとは正式に総会を開いて承認を得るだけだ。」 子:「ちょ…ちょっと!急すぎるだろ?帰って来て1年も経っていないんだぞ。」 解説:ハルオjrが故郷屋久島に帰って来たのは2010年10月。今の話は2011年の3月の事です。実際に(有)原の里の代表に就任したのはちょうど1年の2011年10月のことでした。 父:「まあ、手続き云々あるから実際に代表が変わるのはお前が帰って来てからちょうど1年目くらいの日になるだろう。その方がキリもいい。」 子:「…。」 父:「父さんは、農業と農園再生に専念する。」 子:「いや、しかし…。今だって農業2人でしながら会社もやってるんだよ?面積が増えて一人でできるわけないじゃないか!!」 父:「誰が一人でやると言った?農業も農園再生も父子でやるに決まっているだろう。」 子:「へ?」 父:「ただ仕事のウェイトが変わる、って話だ。会社の方もお前が一人前になるまでアドバイスはする。」 子「…。今まで以上に忙しくなるのかー。」 父:「帰って来た時から、いずれは社長の交代はあるって分かっていただろう?それが少し早まっただけじゃないか。」 子:「いや、まあ、そうだけどさ…。」 父:「よし!決まりだな。父さんが農業部門の責任者。お前が会社の責任者だ。まあ、ガンバレ。」 子:「ガンバレ。ってなあ…。」 父:「決まれば、善は急げだな。すぐにでも作業に取り掛かるぞ。」 こうして決まった「耕作放棄地」の農園再生。 しかし、農園再生にかかる作業は最初から想像を絶するものだった。 次回"第4話 父子で道を切り拓け!"に続く。 登場人物 ![]() ![]() バックナンバー 第1話 息子よ、「耕作放棄地」を知っているか? 第2話 息子よ、これが「耕作放棄地」の問題だ! |
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