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第1話 息子よ、「耕作放棄地」を知っているか?
世界自然遺産の島、屋久島のはるお集落。そこは屋久島でも有数の農作地帯。 2011年3月のある日。 農作業の休憩中に突然、話は始まった。 父:ハルオ「なあ、耕作放棄地って知ってるか?」 息子:ハルオjr「なんだよ、急に…。『耕作』が『放棄』された農『地』のことだろ?」 解説:耕作放棄地とは農林水産省によると「以前耕地であったもので、過去1年以上作物を栽培せず、しかもこの数年の間に再び耕作する考えのない土地」のことを指します。つまり、今後も荒れていくだろうと思われる農地ということになります。 父:「そうなんだけどな、屋久島にもけっこうあるんだよ。耕作放棄地。」 子:「え!?そうなの?屋久島も農家が減ってるって言ってたからな…。」 父:「他人事じゃないぞ。近くにあるんだから。ウチの農園からも歩いていける距離にあったりするんだぞ。」 子:「ええー!?それは知らんかった…。」 父:「じゃあ、見にいってみるか?」 子:「そうやな、自分で確かめてみるか。。。」 徒歩1分。 ![]() 父:「ここだ。」 子:「いや、ここは『やぶ』やろ。」 父:「ここはな、3年前まで立派な『たんかん』園だったんだぞ。」 解説:「たんかん」とは屋久島を代表する特産物で柑橘類の一種です。「かんきつの女王」と呼ばれるほどジューシーで甘いのが特徴です。特に屋久島は気候が合っていて『屋久島たんかん』は「たんかん」の中でも評価が高いです。食べられる時期は2月~3月。 子:「マジか…。完全に『やぶ』にしか見えないな…。たった3年でこんなになるもんなのか…。」 父:「屋久島の場合は、草とかツタ、雑木が生えるスピードが早いからな。しかも、『たんかん』はデリケートだから、世話をしないと1年でダメになると言われている。この園は3年も経っているから『たんかん』は無事ではないかも知れんな。」 子:「でも、なんでこんな状態になってしまったん?」 父:「ここはな、持ち主の農家さんが亡くなってから放置されてるんだ。子供たちはみんな島を出てしまっているから、頻繁に帰って来て世話をするってわけにもいかんしな。」 子:「まあ、仕事もあるだろうしね。」 父:「問題は、こういった農園がこれから増えるってことだな。」 子:「なんで?」 父:「今、屋久島の農家の平均年齢は約67歳。若い農家が増える見込みは薄いから、十年後にはそのまま77歳になるって考えると、体力的にも出来ないだろ。」 子:「子供が島にいて、農園を継ぐっていうのは少ないだろうね。同級生だって半分も島にいないし。」 解説:「耕作放棄地」が出来る原因は「農家の減少」と「農家の高齢化」です。 ・農業経営だけでは生活がなかなか成り立たないということと、体力を使う仕事はキツイという理由で農家の子供であっても農業を継がないケースが多いという事。 ・同じ理由で農家自身が子供に農業を継がせないケースがあるということ。 ・新たに農業を始めるにはそれなりに土地や資金などの準備が必要で農家以外が農業をはじめるのは難しい面があるということ。 などが問題点としてあげられます。これらの問題点を解消しようと国や自治体も乗り出していますが根本的な解決には至っていません。 最近TPPなどが農業問題としてクローズアップされていますが、本当の問題は"TPPに参加していない状態"でも「農業では生活がなかなか成り立たない」「農業の衰退に歯止めがかからない」ことなのだと思います。 父:「でもな、『耕作放棄地』が増えると困ることがあるんだよ。」 耕作放棄地が増えると困ることがあるという父。 それは、単純に「農地が減るから」ということではない。 もっと具体的に、切実な問題がひそんでいるのだった。 次回"第2話 息子よ、これが「耕作放棄地」の問題だ!"に続く。 登場人物 ![]() ![]() |
初めまして、加藤家の主婦で夫一人子供二人の母です。。
屋久島には何回か行かせてもらっててタンカンも送ってもらって食べていますが、、こんな問題があるとは知りませんでした。 難しそうな話だけど解説付きで良く理解できるし、、!。 ハルオJrさんの質問って私もなんで?と思うことばっかりで、それに答えてくれるハルオパパ!頼れるんだなって感じで素敵です。 >練馬の加藤家さん
コメントありがとうございます! プロジェクト始まって以来初のコメントでものすごくうれしいです!! ボクも屋久島に帰って来て、農業に関わるようになってから 初めてこのような問題があることを知りました。 これは、将来的に大問題につながっていくんだな、って 思うと怖いですね。 それに立ち向かう父とボクの物語はまだ始まったばかりなので 是非これからも読んでいただけるとありがたいです。 |
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