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第19話 プロジェクトの骨子
【第18話 肝心なのは共有することのハイライト】 息子の案は支援をしてくれた人に『たんかん』を送るだけでなく、情報も送るというものだった。 それは、『広がり』に繋がって欲しいという願いでもあった。 父子はこの案の実現性と『広がり』の可能性を確かめるため。「下ン牧さん」に相談に向かう。 父:ハルオ:「こんにちは。お世話になります。」 息子:ハルオjr「こんにちはーっ!」 下ン牧(しもんまき):「こんにちは。相談って何?」 子:「実はですね、今父子で農園再生というのに取り組んでまして。」 下:「農園再生?」 父:「要は耕作放棄地を再生させて、有効活用しようということです。病害虫も防ぐことになりますし、常々考えている村おこしにも繋がっていくと思っています。」 参照:第1話 息子よ、「耕作放棄地」を知っているか? 第2話 息子よ、これが「耕作放棄地」の問題だ! 第3話 父の決断 第7話 父の夢 下:「ふーん、なるほど。それはいい事ですね。地域貢献にもなりますし。それで?」 子:「作業的には父子二人でできる範囲でしか今のところはやっていないので問題ないんですけど、運営的にどうしても壁があって…。」 参照:第15話 農園再生の弱点 下:「そうだよね。再生させてからじゃないと収入ないもんね。」 子:「はい。だから、CSAという農業支援、農業経営の方法を取り入れたいな、と。ただ、そのままでは屋久島では使えないので、屋久島風に、農園再生風にアレンジしようと思ってます。」 参照:第16話 父よ、「CSA」を知っているか? 下:「それはどういう風にアレンジするんですか?」 父:「詳しくは、ハルオJrから聞いてください。」 子:「ええ。まず、農園再生という取り組みに対して支援を募ります。」 下:「それは、資金的にって意味だよね?いくらで考えてるの?」 子:「5000円くらいですね。」 下:「それくらいなら、支援しやすいね。それで?」 子:「それで、支援してくれた方に再生農園でとれた『たんかん』を5kg送ります。」 参照:第17話 本当に得たいものは得難い存在 下:「それで大丈夫なの?採算合うの?」 子:「最初のうちは収穫できる量が少ないので、厳しいです。でも、収穫できる量が増えて人数を集めることが出来るようになれば採算は合います。」 下:「私の知ってる範囲だけど、東京なんかで『たんかん』って1個で200円とか500円とかすることもあるんだよ?本当に大丈夫?安すぎない?」 子:「はい。その設定でも大丈夫です。『たんかん』を売るって話ではないですから。」 下:「だったらいいんじゃない?『たんかん』なんてそんなに出回ってるものでもないし、おいしいから。」 子:「で、メールマガジンを発行して、支援してくれた人に農園再生の進捗とか、屋久島の情報なんかも送りたいと考えているんです。」 参照:第18話 肝心なのは共有すること 下:「一体感とか共有感が得られるしね。面白いかも。私も東京にいたころに知っていた屋久島(のイメージ)と住んでみてからの屋久島とじゃ全然違うって分かったし。多分、知ってる人少ない情報になるよね。本当の屋久島の良さを知るって意味でも。」 子:「はい!そうなんです!!」 父:「この案は実現出来そうですか?」 下:「はい。苦労はいろいろあるでしょうけど、面白いと思います。やってみる価値はあるんじゃないかしら。こういった問題に興味がある人って割といますよ。でも、実際にはそういったものに参加する機会ってあんまりなかったりするんです。」 子:「おお!やった!!」 下:「それで、このプロジェクトはなんて名前にするの?」 子:「はい!実はすでに考えています。『屋久島農園再生プロジェクト』!」 下:「うん。シンプルで分かりやすくていいかも。」 子:「それで、会員なんですが、まんま会員だとお客さんみたいなので位置づけを考えました。一緒に農園再生に取り組んでいく仲間ですから、『プロジェクトサポートメンバー』っていう呼び名にしようと思います。通称『サポートメンバー』」 下:「そうだね。単純に会員よりはそっちの方がイイと思う。参加してる感じが出るし。でもさ、それなら共有感の部分で、もうひと工夫できるかもよ?」 子:「というと?」 下:「『会員証』を発行するの。えーと、この場合は『プロジェクトサポートメンバー証』ね。」 父:「それは、面白い。」 下:「でしょう?それで、ナンバーなんかもつけちゃってさ。管理しやすくなるでしょ?」 子:「おお!でも、手作りしかできませんよ?資金ないですし。」 下:「手作りだからいいんじゃない!」 子:「そう…なんですか?」 下:「そうよ。純朴さがいいのよ。で、屋久島らしさというか、農園再生らしさのある『メンバー証』がいいよね。」 父:「屋久島らしさ…?」 下:「手作りってことは、ラミネート加工くらいでしょ?だったら、たんかんの葉っぱなんかはさんで作っちゃえば?『たんかん』自体は知ってる人はいるかもしれない。でも、都会の人…というか産地にいない人は葉っぱは見たことないもの。」 子:「おお!いいですね!!生だと厳しいから、押し花にしてしまえば出来るかも!」 下:「いいね!」 子:「これで、プロジェクトの基礎部分は見えてきました!」 ![]() 下:「面白い!私も出来ることがあれば、なんでもお手伝いしますよ!」 解説:このように父子はいつも「下ン牧さん」にお世話になっているのです。 父:「それは心強い!ありがとうございます。」 子:「ありがとうございます!」 父:「よし、じゃあ今日のところは帰ってプロジェクトについてもう少し具体的に検討するか。」 子:「おう。」 父:「検討したら、教えてくれ。」 子:「は?」 父:「ここまで考えたんだ。お前なら出来るはずだ。」 子:「ええ~!?」 案の骨子が見えてきた父子。名前も「屋久島農園再生プロジェクト」に決まった。 この骨子をもとにプロジェクトを作り上げていく過程へと入っていくのだった。 次回"第20話 目指すべき地点"に続く。 登場人物 ![]() ![]() 下ン牧さん バックナンバー 第1章 「農園再生導入編」まとめ(第1話~第14話) 第15話 農園再生の弱点 第16話 父よ、「CSA」を知っているか? 第17話 本当に得たいものは得難い存在 第18話 肝心なのは共有すること |
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