- 2023 . 11 «
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
- 7
- 8
- 9
- 10
- 11
- 12
- 13
- 14
- 15
- 16
- 17
- 18
- 19
- 20
- 21
- 22
- 23
- 24
- 25
- 26
- 27
- 28
- 29
- 30
- 31
第16話 父よ、「CSA」を知っているか?
【第15話 農園再生の弱点のハイライト】 息子:ハルオJrが引っかかっていたのは、農園再生の弱点「回収率の悪さ」だった。 ハルオJrが口にした「コミュニティ・サポーティド・アグリカルチャー」とは一体? 父:ハルオ:「で、そのアグリなんとかっていうのはなんなんだ?」 息子:ハルオjr:「コミュニティー・サポーティド・アグリカルチャーだってば。まあ、『CSA』の方が呼びやすいけど。 この農園再生の回収率の悪さってさ、結局継続できるのか?って問題にぶつかるよね。 で、継続できない状態っていうのが、資金かやる気か体力のどれかが無くなる状態だって思う。 今のところ、やる気と体力に関してはあんまり問題ない。ってなると、やっぱり資金が一番のネックかなって。」 解説:農園再生を継続させていくためには、「やる気」「体力」「資金」の要素が欠かせません。 我が家の場合、「やる気(情熱・覚悟)」と「体力(男手2人分)」については問題がありません。 むしろ、夫婦だけとか高齢な農家に比べれば恵まれている環境にあります。 しかし、もともと大きな農家でも資産家でもないので、農園再生を継続し続ける「資金」が本当にどのくらいもつのか?という問題点があります。 これは、農園再生には思いのほか資金がかかるということが原因で、農園再生にかかる労働対価(父子の労賃)が得られない可能性が高いのです。 この状態が続けば、「資金」だけでなく「やる気」の低下にもつながっていく根幹的な問題なのです。 父:「それで?」 子:「で、なんかいい方法はないか調べてみたら、この『CSA』があったんだよ。」 父:「どんな方法なんだ?」 子:「うん。簡単にいうと、耕作の前にお金をもらって作物を育てる。育った作物は払ってくれた人に送るっていう仕組みなんだよ。」 ![]() 父:「なるほどな。確かにこれなら最初に資金が集まるから資金不足になる心配はないな。 だが、これは屋久島で成立するのか?」 子:「確かに、それが問題なんだよね…。今これをやってる農園がいろんな所にあるんだけど、大体が都市近郊型みたいなんだよね。」 父:「消費者が近い所に大勢いると有利だからな。というか田舎…まして島では難しいんじゃないか?」 子:「うん。そう思う。だからコミュニティ・サポーティド…地域で支えるって名前なんだと思う。」 父:「まして、今の再生農園の『たんかん』は特産品だからな。島での需要がそんなにあるとは思えないな。」 子:「そうなんだよね。調べた範囲では『CSA』は野菜中心でやってる所ばかりだし。」 父:「数か月のサイクルで収穫できるからな。『たんかん』は果樹だから年1回しか収獲できん。季節ものだしな。」 子:「うん。」 父:「で、その『CSA』はいくらくらい会員からもらうんだ?」 子:「いくつかホームページを見たら、月数千円くらい。年間にして数万~10万円ぐらいが相場みたいよ。」 父:「仮に100人の会員がいて、年10万円もらったら1000万円か。それはすごいな。」 子:「そのかわり、かなりの量の農作物を作らないといけないけどね。」 解説:コミュニティ・サポーティド・アグリカルチャーとは 日本で生まれ、アメリカで育った農業経営の手法です。 生産者は耕作前に資金を得ることができ、消費者は出所の確実な安心できる農作物を得ることができます。 近年、日本に逆輸入して取り入れられています。息子が調べた範囲では成功している例は ・近くに多くの消費者を抱える近郊都市がある。 ・金額が年間数万円~10万円。 ・野菜を作って定期的(月数回)消費者に送っている。というものが多かったです。 屋久島の場合、 ・近くに近郊都市がない。 ・栽培の中心が果樹なので年1回しか収穫できない。 という成功パターンとは逆の環境があります。父が懸念しているのはその点です。 父:「農園再生の場合は、そもそもいつになったら、本格的な収穫ができるか分からないんだ。その『CSA』という手法は無理があるんじゃないか?」 子:「そのまま使えば、ね。農園再生風にアレンジすればどうだろう?果樹だから年で考えてさ。」 父:「月会費じゃなくて、年会費にするってことか?」 子:「うん。年会費数千円とかって形にしたら、いけるんじゃないかって思ってる。」 父:「基本的に最初に年会費を数千円もらって、農園再生をする。それで収穫出来た『たんかん』を送るっていう仕組みを考えているってことでいいのか?」 子:「うん。」 父:「だけど、会員はどうするんだ?離島だから近郊都市なんかないぞ。」 子:「屋久島の主な農産物ってさ、もともと島で売られてないじゃない。だから、会員も島に求めなくてもいいと思うんだよ。まあ、『CSA』のコミュニティの部分がなくなるけど。」 父:「…なるほど。たしかにそれはそうかもしれん。」 子:「それにさ、会員って要は『お客さん』じゃない?」 父:「それはそうだろう。」 子:「でもさ、その会員っていうところをさ、農園再生風にアレンジしたいよね。」 父:「どういう意味だ?」 子:「『CSA』っていう経営手法をさ、農園再生風に月額を年会費にして、コミュニティの地域性を無くすっていう形でアレンジすれば、屋久島でも可能じゃないか?って考えてる。 どうせなら、会員のとらえ方もアレンジしたいよねってこと。むしろ、それが本当の狙いなんだよ。」 『CSA』とは耕作・栽培前に会員から資金を得るという経営手法だった。 屋久島は環境的に『CSA』は馴染まない。しかし、それをアレンジすればいいという息子。 さらに、「会員」のとらえ方もアレンジしたいと言う。息子の真意とは…? 次回"第17話 本当に得たいものは得難い存在"に続く。 登場人物 ![]() ![]() バックナンバー 第1章 「農園再生導入編」まとめ(第1話~第14話) 第15話 農園再生の弱点 |
|
| ホーム |
|