- 2023 . 11 «
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
- 7
- 8
- 9
- 10
- 11
- 12
- 13
- 14
- 15
- 16
- 17
- 18
- 19
- 20
- 21
- 22
- 23
- 24
- 25
- 26
- 27
- 28
- 29
- 30
- 31
第9話 人間だって同じ
【第8話 農と業と農業のハイライト】 農園再生は、農業の経営に対する挑戦でもあった。 息子:ハルオJrが心に何か引っかかる中、弱った木のケアは始まるのであった。 父:ハルオ:「さて、いよいよ本格的に木のケアに取り掛かれるな。ここからが本番…というか、スタートだな。」 息子:ハルオjr:「やっぱり最初は病気にやられた枝を切っていくの?これ以上広がらないように。」 ![]() 父:「弱った木にいきなりそんなことするわけないだろうが。」 子:「なんで?だって、ほっとくと他の病気になってない木にまで感染してしまうじゃない。」 父:「それはそうなんだがな、物事には順番というものがあるだろうが。」 子:「順番?」 父:「そうだ。木だって生きているんだ。そう考えるとおのずと順番が決まってくるだろう?」 子:「さっぱり分からん。」 父:「病気にやられている木は、例えれば病人と同じだ。そして、枝を切る、ということは手術をするのと同じってことだな。」 解説:ここでいう「枝を切る」という行為は枝の先端部分を切るという意味ではなく、枝の根元から切るという意味です。それは、病気感染した枝は根元まで病原体に侵されているので、根元から切断しなければ対処にならないからです。 子:「…ずいぶんと人間くさいな。」 父:「だから言っただろう、木だって生きている。同じなんだよ。」 子:「同じ…かぁ。」 父:「体が弱っている人間に手術をしても体力がもたないように、弱っている木を切ってしまうとやっぱり持たない。特にデリケートな『たんかん』はな。」 子:「基礎体力がないってことね。」 父:「そんな時、手術をする前に病人に栄養をつけて、体力をつけようとするだろう?木も同じと考えれば、やることはまず、栄養を与えることだ。」 子:「…つまり肥料をやるってことね。」 父:「そうなんだが、普通の肥料だと強すぎる。だからまず土壌改良剤で栄養をつける下地を作っていく。まあ、土壌改良剤にも多少の養分は入っているし、差し当たりはそれで十分だろうからな。」 子:「病院食、みたいなもんか。」 父:「まあ、そんなもんだ。で、これが土壌改良剤だ。」 解説:土壌改良剤とは、名前の通り、土の改良を行うために使います。改良とは、育てる農作物に適した土にすることです。それは、土の成分をコントロールして栄養分を農作物が吸収しやすくする、という意味です。 ここでは苦土重焼燐(くどじゅうしょうりん)という土壌改良剤を使っています。 ![]() 父:「じゃあ、着替えて撒くか。」 子:「よし!」 ![]() 解説:肥料を撒くと非常に細かい土の粒子が飛び散ります。それが繊維に付着すると洗っても落ちません。ですので、ズボンの上からビニール製のカッパのズボンを履いています。 これを履き忘れると母にかなり怒られます。 ~2時間後~ 父:「よし。終わったな。」 子:「夏場じゃなくてよかったよ。」 父:「これで下地ができたからな。少し間を置いてから枝の切除にかかるか。」 子:「それは技術がいるから、まだオレには無理だな。」 父:「そうだな。だから、後片付けを頼む。」 子:「ここ最近、木を運んでばっかりだな…。」 木もやはり生きていて、ケアの仕方も人間と同じだった。 その最初のステップとして土壌改良剤を撒いた父子。 いよいよ、木に手を入れていく。 次回、"第10話 思い切りが肝心"に続く。 登場人物 ![]() ![]() バックナンバー 第1話 息子よ、「耕作放棄地」を知っているか? 第2話 息子よ、これが「耕作放棄地」の問題だ! 第3話 父の決断 第4話 父子で道を切り拓け! 第5話 光をさえぎるもの 第6話 地をはうもの 第7話 父の夢 第8話 農と業と農業 |
|
| ホーム |
|