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第39話 2012年6月 ハルオJrへの相談
【第38話 2012年6月 備えあればのハイライト】 屋久島の農家にとって最大の脅威となる台風の襲来に備えた父子。 今回は運よく直撃をまぬがれたが、今年の台風との戦いは始まったばかりなのである。 今後の方向を大きく決めていく情報がハルオJrにもたらされることとなる…。 ―――2012年6月 下の牧邸――― 下の牧:「じゃあ、今日の授業はここまで。」 ハルオjr:「ありがとうございました!」 解説:ハルオJrは下の牧さんに簿記を教えてもらっています。本当になにからなにまでお世話になりっぱなしです。 下:「ところでさ。ちょっと聞いてほしい話があるんだけど。」 Jr:「はい?」 下:「実はね、私の友達何人かが集まってボランティアサークルでもやろうかって話があるのよ。」 Jr:「へー。それはすごいですね!」 下:「私の周りって障害者とか高齢者…いわゆる社会的弱者って呼ばれる人たちのサポートをボランティアなんかでやってる人が集まってんのよ。みんないろいろと資格を持っていたりして、屋久島に移住する前はそういった仕事についていたとか、移住前からボランティアやってたとかって人たちなの。私も昔からそういうのに関わってきているから一通りはできるし。」 Jr:「ほえー。ボクはそういったことに関わった経験がないので未知の世界ですね~。屋久島にもそんな人たちがいたりするんだなー。」 下:「まあ、そうよね。関わらない人って一生関わらないから。でも、高齢者の分野なんかはハルオJrだって数十年後には関わるかもしれないわよ。」 Jr:「たしかにそうですね。みんなそうなるでしょうし。」 下:「でしょう?ま、それはおいといて。でね、せっかくそういうサポートが出来る人たちが集まったから、みんなでボランティアを楽しみながらやろうよってことになったの。やっぱり、みんなそういう意識が高いというか興味があるから。実際にボランティアをやってる人たちだしね。」 Jr:「それは、NPOかなにかを立ち上げるってことなんですか?」 下:「それが、違うのよ~。NPOとかになっちゃうと、そりゃあイロイロと特典はあるけどけっこう関わる人が義務になっちゃうじゃない?それだと、時間がある時にサポートしたいとかの時にちょっとハードルがあがっちゃうわけ。だから、あくまでサークル活動。みんなが集まって好きにやるの。来れる人が来れる時にね。」 Jr:「ほー、なるほど。つまり、出来る人が出来る時に出来ることを出来るだけってことですか?」 下:「そうそう。」 Jr:「それはスゴイっすね!発想がいいですね~。ボクもそんな思考回路ですから。」 下:「そうね。きっちり型のお父さんとは正反対だもんね。」 Jr:「ハハハ!そうなんですよね~。なんで似なかったのかな~?それで、具体的に何をするんですか?」 下:「まだハッキリと決まってないけど、まずは障害者支援から始めようかって話になってる。屋久島の場合、そこが一番弱いのよ。」 Jr:「そうなんですか。確かにボクもボクの周りもそういう意識は薄いかも。」 下:「でね、やっぱりやるからには独立支援…簡単に言うとお給料を出してあげられる何かをしたいな、って思ってるわけ。」 Jr:「ということは、何かみんな(障害者+ボランティア)で加工品を作ったりして売るんですか?」 下:「そうね、それもやるつもり。というか、ハンディとか関係なしにみんなで集まってワイワイ作業をしましょうよっていうスタンスね。ただ、ハンディがある人にはちょっと優遇しましょうねってだけ。」 Jr:「それも?ってことは他にも?」 下:「そう。ここからが本題なんだけど、アナタがやってる農園再生プロジェクトとコラボできないかな?」 Jr:「それは…雇う側、仕事を提供できないかってことですか?」 下:「そう。」 Jr:「うーん。」 Jr:(全く今まで考えたことなかった…。) Jr:「今、支援対象のというか、そのサークルに誘うつもりの人って心当たりありますか?」 下:「ある。」 Jr:「それはハンディを持つ持たないに関わらずですけど、農作業の経験は?」 下:「だいたいみんな何かの経験はあるわね。」 Jr:「単純作業でも大丈夫ですか?」 下:「もちろん。というか、技術が必要な仕事は無理よ。農作業は多少経験があっても農業は素人だもん。」 Jr:(…これは面白いぞ。農業にそういった広がりを持たせることができるとは…全く考えてなかった。農業×福祉か。なんかしらんが、オラワクワクしてきたぞ!) ![]() Jr:「仕事は用意できると思いますよ。」 下:「本当!?」 Jr:「はい!むしろ、これはプロジェクト自体が面白いことになりそうな予感がしてきましたよ!!」 下:「でしょう?私も面白い事になるんじゃないかって気はしてるのよ。」 Jr:「今まで気づきませんでしたけど、プロジェクト自体が農業と社会事業の、農業と村おこしのコラボだったんだな~ってことですね。」 下:「え?知らないでやってたの?」 Jr:「はあ、まあ。社会問題のひとつに取り組んでいるってことはモチロン分かってましたけど、プロジェクト始めたのは面白いかも!?って思ったからですし。この話もその時の面白いかも!?って感覚と同じなんで。」 下:「でも、そういうピンとくる感覚って大事よ。ビジネスでもね。」 Jr:「まあ、帰ったら父に話てみますよ。」 下:「よろしくね~。」 下ン牧さんからの相談により、農業の持つすそ野の広さを感じたハルオJr。 それは、可能性が広がる話でもあった。この何かを感じた部分がプロジェクトの今後を左右することになる。 次回「第40話 2012年7月 父の正論と息子の理論」に続く。 登場人物 ![]() バックナンバー 第1章 「農園再生導入編」まとめ(第1話~第14話) 第2章 「プロジェクト始動編」まとめ(第15話~第25話) 第26話 2011年12月 第一号モニター 第27話 2011年12月 平地と斜面 第28話 2011年12月 息子よ、サポートメンバーは集まっているか 第29話 2012年3月 こだわりの土づくり 第30話 2012年3月 土作りの次は栄養を 第31話 2012年4月 予想外のスピード 第32話 2012年4月 太陽の恵みを取り込め 第33話 2012年4月 激論!父vs子 第34話 2012年5月 いつもの作業風景 第35話 2012年5月 電気を通すために 第36話 2012年6月 世代交代? 第37話 2012年6月 無視できない存在 第38話 2012年6月 備えあれば |
第38話 2012年6月 備えあれば
【第37話 2012年6月 無視できない存在のハイライト】 害虫をはじめとする虫の存在も農園を全滅に追い込む可能性のある脅威なのだった。 農家が戦う相手は意外と多いのである。最大の強敵が近づいてくるのであった。 ―――2012年 6月――― 早い台風が発生し、屋久島に近づいていた。 息子:ハルオjr:「何回台風情報とにらめっこしてんの?見ても変わらないって。」 父:ハルオ:「少し進路がずれただけでも影響が変わってくるんだ。風向きでも全く違う。」 解説:屋久島の農家にとって、最大の脅威と言えば台風です。大きくて強い台風が直撃した場合、最悪農産物が全滅することもあります。天災なのである程度は仕方ない事とはいえ、農家の心配は尽きることはありません。 子:「だからって、台風の進路を変えられるわけじゃないでしょ。」 父:「それは、そうなんだがな。さて、台風も近づいてきていることだし対策にいくか。」 ―――農園――― 子:「なにするの?」 父:「幼木が強風で折れてしまわないように、鉄の棒で補強、固定する。」 子:「了解。」 父:「体重をかけて、ぐっと深くまで棒を差し込んでくれ。」 子:「分かった。」 父:「棒を差し込んだら、木に傷をつけないように注意しながらひもで固定していくからな。」 ![]() ―――数時間後――― 子:「さて、これで全部の固定が終ったね。」 父:「明日の台風が影響がないことを祈るしかないな。」 ―――翌日 午後――― ![]() 子:「台風も過ぎ去ったし、今回は直撃をまぬがれたみたいだしよかったよかった。」 父:「見回りの結果も特に影響はなかったみらいだしな。」 子:「ああ。」 父:「ただ、潮があがっていたようだから水をかけておかないとな。」 ![]() 解説:台風が来ると海水が風で吹き上げられます。海に近い農園はその潮をかぶることになります。すると枯れてしまったり、悪い影響があるのです。だから、スプリンクラーなどで水をかけて塩を洗い流してしまいます。 父:「これでよし。ただ、台風のシーズンはこれからだからな。」 子:「秋までは台風との戦いが続くわけだからなー。」 最大の敵、台風に備えた父子。今回は直撃をまぬがれたが、脅威であることに変わりはないのである。 梅雨が続く6月。ハルオJrに新たな情報がもたらされるのであった。 次回「第39話 ハルオJrへの相談」に続く。 登場人物 ![]() ![]() バックナンバー 第1章 「農園再生導入編」まとめ(第1話~第14話) 第2章 「プロジェクト始動編」まとめ(第15話~第25話) 第26話 2011年12月 第一号モニター 第27話 2011年12月 平地と斜面 第28話 2011年12月 息子よ、サポートメンバーは集まっているか 第29話 2012年3月 こだわりの土づくり 第30話 2012年3月 土作りの次は栄養を 第31話 2012年4月 予想外のスピード 第32話 2012年4月 太陽の恵みを取り込め 第33話 2012年4月 激論!父vs子 第34話 2012年5月 いつもの作業風景 第35話 2012年5月 電気を通すために 第36話 2012年6月 世代交代? 第37話 2012年6月 無視できない存在 |
第37話 2012年6月 無視できない存在
【第36話 2012年6月 世代交代?のハイライト】 10歳年下のしっかり者ナカラセくんに先を越されたような気がして気持ちばかりあせるハルオJr。 そんな気持ちとはうらはらに日々の作業は続いていくのであった。 ―――2012年 6月――― 父:ハルオ:「このやろがっ!このっこのっ・・・!」 息子:ハルオjr:「どうした?大きな声出して。」 父:「テッポウがいた・・・!」 子:「ええー!?テッポウ!!?…本当だ。」 ![]() 解説:テッポウとはゴマダラカミキリムシのことです。なぜテッポウと呼ぶのかは分かりません。 この虫はぽんかん、たんかんの木に卵を産みつけます。卵は木の中で孵化し、幼虫は木を食べて成長します。 この時食べられた木は弱ってしまいます。最悪の場合枯れてしまう事もあります。 つまり、ぽんかん、たんかんの害虫で中でもタチが悪いので農家はこの虫を目の敵にしているというわけです。 子:「コイツはタチが悪いからな~。」 父:「ボーっと見てないで、見つけたらちゃんと駆除しといてくれよ。」 子:「分かった。」 ―――――――――― 子:「うおっ!?」 父:「どうした?」 子:「びっくりしたー。ハチの巣があったよ。」 父:「デカいのか?」 子:「いや、まだ3匹くらいしかいない小さいヤツ。」 父:「危ないから、ちゃんと潰しとけよ。」 子:「了解。」 ![]() 解説:ぽんかん、たんかんにとっては害虫ではありませんが、木にはよくハチが巣を作ります。アシナガバチであることが多いです。ちなみにハルオJrも今年1回刺されました。 農作業を行うに当たって危険なので見つけたら、殺虫剤で蜂を駆除し、巣を潰してしまいます。 子:「しかし、果樹園は虫にとって住みやすい場所なんだな。」 父:「果樹園が住みやすいのか、屋久島が住みやすいのかは分からんがな。」 子:「いずれにしても、こっちにとっては敵ってことだけど。」 父:「そうだな。本当は共存できればそれに越したことはないけど、無理だしな。なんとか虫が近づかない方法でもあればいいんだが。」 子:「うーん。それまでは対症療法しかないってことか・・・。」 最悪の場合、果樹園を全滅に追い込む害虫や危険を伴う虫との戦いも農業の一環なのであった。 農家が戦う相手は意外と多い。父子は6月にして最大の敵を迎え撃つことになるのであった。 次回"第38話 2012年6月 備えあれば"に続く。 登場人物 ![]() ![]() バックナンバー 第1章 「農園再生導入編」まとめ(第1話~第14話) 第2章 「プロジェクト始動編」まとめ(第15話~第25話) 第26話 2011年12月 第一号モニター 第27話 2011年12月 平地と斜面 第28話 2011年12月 息子よ、サポートメンバーは集まっているか 第29話 2012年3月 こだわりの土づくり 第30話 2012年3月 土作りの次は栄養を 第31話 2012年4月 予想外のスピード 第32話 2012年4月 太陽の恵みを取り込め 第33話 2012年4月 激論!父vs子 第34話 2012年5月 いつもの作業風景 第35話 2012年5月 電気を通すために 第36話 2012年6月 世代交代? |
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