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屋久島農園再生プロジェクト

登場人物
ハルオJr
ハルオJr(はるお・じゅにあ)
本名:日高 正貴
性格:のんびり、めんどくさがり

屋久島の農家の息子。15歳で屋久島を出る。
長崎大学経済学部卒業後、(株)西松屋チェーンに入社。九州各地で店長職を務める。
外資系人材コンサル会社、ランスタッド(株)に転職し、企業担当・人材担当として再就職支援を行う。
父から一緒に会社をやらないか?と誘われ帰郷。(有)原の里の代表に就任。
屋久島農園再生プロジェクトを立ち上げる。
(有)原の里代表を1年で辞任し、プロジェクトに専念するため家業の農家を継ぐ。



ハルオ父

ハルオ父(はるお・ちち)
本名:日高 義正
性格:真面目、心配性


屋久島で代々続くちいさな農家。元JAマン。
参事を務めるも40代でJA退職。その後、数年してから原集落の区長に就任。村づくりに目覚める。
集落民で運営する「げじべえの里」の通販事業に着手する。
「集落の農家の収入が増える助けになれば」と(有)原の里を立ち上げ、里の販売所やまんこ売店を設立。
一時は息子ハルオJrに代表を譲り、耕作放棄地の再生に取り組みプロジェクト発足のきっかけを作る。
現在は(有)原の里の代表に再就任している。



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下ン牧さん(しもんまきさん)
性格:冷静、理論的


原集落に移住してきた経営コンサルタントの女性。
(有)原の里のアドバイザー的なことをしてもらっている。
屋久島に移住してきた時から「屋久島のためになること」をしたいと考える。
ハルオ父と知り合ったのも、父が村づくりに目覚めた頃だった。
プロジェクトに関してもよき理解者として全力で協力をしてくれている。
ハルオJrの簿記の先生でもある。とにかく多事多端で多忙を極めている人。
ハルオ父子が束になってもかなわない何かがある人。



ナカラセ

ナカラセくん(なからせくん)
性格:しっかり 飄々としている


ナカラセ農園三代目。
屋久島高校卒業後、鹿児島農業大学校に進学し優秀な成績で卒業。
卒業後帰郷し、農業を継ぐ。
ハルオJrの10歳も下なので、知り合ったのはお互いに帰郷してからだった。
ハルオJrのプロジェクトの理解者で、何かと協力的。
独自の理論で農業技術の研究をしており、ハルオJrの農業方面の先生でもある。




園長

園長さん(えんちょうさん)
性格:おっとり 芯が強い


こだまクラブ代表。
北海道出身で屋久島に移住してきた。元保育園副園長。現在は喫茶店のオーナーママ。
保育園だけでなく、介護や福祉の仕事も経験している。
話し方はおっとりだが、芯が強くぶれない頼れるリーダーである。
ちなみに(有)原の里 やまんこ売店の出品者でもあり、ハルオ父、ハルオ母とも顔なじみ。



事務長

事務長さん
性格:ダンディ 謹厳実直


こだまクラブメンバー。
元障がい者福祉NPO法人の事務局長。それ以前は公務員だった。
筋を通すことにかけては彼の右に出るモノはいない。
また細かい連絡や調整も完璧で、こだまクラブのメンバーのみならず、障がい者の親御さんからも絶大な信頼を誇る頼れる人。たまにダジャレを言うシャレの分かる茶目っ気もある。
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[2012/09/29 22:53 ] | 登場人物 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top
第39話 2012年6月 ハルオJrへの相談
第39話 2012年6月 ハルオJrへの相談


第38話 2012年6月 備えあればのハイライト】
屋久島の農家にとって最大の脅威となる台風の襲来に備えた父子。
今回は運よく直撃をまぬがれたが、今年の台風との戦いは始まったばかりなのである。
今後の方向を大きく決めていく情報がハルオJrにもたらされることとなる…。


―――2012年6月 下の牧邸―――
下の牧:「じゃあ、今日の授業はここまで。」


ハルオjr:「ありがとうございました!」


解説:ハルオJrは下の牧さんに簿記を教えてもらっています。本当になにからなにまでお世話になりっぱなしです。


下:「ところでさ。ちょっと聞いてほしい話があるんだけど。」


Jr:「はい?」


下:「実はね、私の友達何人かが集まってボランティアサークルでもやろうかって話があるのよ。」


Jr:「へー。それはすごいですね!」


下:「私の周りって障害者とか高齢者…いわゆる社会的弱者って呼ばれる人たちのサポートをボランティアなんかでやってる人が集まってんのよ。みんないろいろと資格を持っていたりして、屋久島に移住する前はそういった仕事についていたとか、移住前からボランティアやってたとかって人たちなの。私も昔からそういうのに関わってきているから一通りはできるし。」


Jr:「ほえー。ボクはそういったことに関わった経験がないので未知の世界ですね~。屋久島にもそんな人たちがいたりするんだなー。」


下:「まあ、そうよね。関わらない人って一生関わらないから。でも、高齢者の分野なんかはハルオJrだって数十年後には関わるかもしれないわよ。」


Jr:「たしかにそうですね。みんなそうなるでしょうし。」


下:「でしょう?ま、それはおいといて。でね、せっかくそういうサポートが出来る人たちが集まったから、みんなでボランティアを楽しみながらやろうよってことになったの。やっぱり、みんなそういう意識が高いというか興味があるから。実際にボランティアをやってる人たちだしね。」


Jr:「それは、NPOかなにかを立ち上げるってことなんですか?」


下:「それが、違うのよ~。NPOとかになっちゃうと、そりゃあイロイロと特典はあるけどけっこう関わる人が義務になっちゃうじゃない?それだと、時間がある時にサポートしたいとかの時にちょっとハードルがあがっちゃうわけ。だから、あくまでサークル活動。みんなが集まって好きにやるの。来れる人が来れる時にね。」


Jr:「ほー、なるほど。つまり、出来る人が出来る時に出来ることを出来るだけってことですか?」


下:「そうそう。」


Jr:「それはスゴイっすね!発想がいいですね~。ボクもそんな思考回路ですから。」


下:「そうね。きっちり型のお父さんとは正反対だもんね。」


Jr:「ハハハ!そうなんですよね~。なんで似なかったのかな~?それで、具体的に何をするんですか?」


下:「まだハッキリと決まってないけど、まずは障害者支援から始めようかって話になってる。屋久島の場合、そこが一番弱いのよ。」


Jr:「そうなんですか。確かにボクもボクの周りもそういう意識は薄いかも。」


下:「でね、やっぱりやるからには独立支援…簡単に言うとお給料を出してあげられる何かをしたいな、って思ってるわけ。」


Jr:「ということは、何かみんな(障害者+ボランティア)で加工品を作ったりして売るんですか?」


下:「そうね、それもやるつもり。というか、ハンディとか関係なしにみんなで集まってワイワイ作業をしましょうよっていうスタンスね。ただ、ハンディがある人にはちょっと優遇しましょうねってだけ。」


Jr:「それも?ってことは他にも?」


下:「そう。ここからが本題なんだけど、アナタがやってる農園再生プロジェクトとコラボできないかな?」


Jr:「それは…雇う側、仕事を提供できないかってことですか?」


下:「そう。」


Jr:「うーん。」


Jr:(全く今まで考えたことなかった…。)


Jr:「今、支援対象のというか、そのサークルに誘うつもりの人って心当たりありますか?」


下:「ある。」


Jr:「それはハンディを持つ持たないに関わらずですけど、農作業の経験は?」


下:「だいたいみんな何かの経験はあるわね。」


Jr:「単純作業でも大丈夫ですか?」


下:「もちろん。というか、技術が必要な仕事は無理よ。農作業は多少経験があっても農業は素人だもん。」


Jr:(…これは面白いぞ。農業にそういった広がりを持たせることができるとは…全く考えてなかった。農業×福祉か。なんかしらんが、オラワクワクしてきたぞ!)


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Jr:「仕事は用意できると思いますよ。」


下:「本当!?」


Jr:「はい!むしろ、これはプロジェクト自体が面白いことになりそうな予感がしてきましたよ!!」


下:「でしょう?私も面白い事になるんじゃないかって気はしてるのよ。」


Jr:「今まで気づきませんでしたけど、プロジェクト自体が農業と社会事業の、農業と村おこしのコラボだったんだな~ってことですね。」


下:「え?知らないでやってたの?」


Jr:「はあ、まあ。社会問題のひとつに取り組んでいるってことはモチロン分かってましたけど、プロジェクト始めたのは面白いかも!?って思ったからですし。この話もその時の面白いかも!?って感覚と同じなんで。」


下:「でも、そういうピンとくる感覚って大事よ。ビジネスでもね。」


Jr:「まあ、帰ったら父に話てみますよ。」


下:「よろしくね~。」


下ン牧さんからの相談により、農業の持つすそ野の広さを感じたハルオJr。
それは、可能性が広がる話でもあった。この何かを感じた部分がプロジェクトの今後を左右することになる。
次回「第40話 2012年7月 父の正論と息子の理論」に続く。


登場人物

tonmo201110 (3)息子:ハルオjr

バックナンバー
第1章 「農園再生導入編」まとめ(第1話~第14話)
第2章 「プロジェクト始動編」まとめ(第15話~第25話)
第26話 2011年12月 第一号モニター
第27話 2011年12月 平地と斜面
第28話 2011年12月 息子よ、サポートメンバーは集まっているか
第29話 2012年3月 こだわりの土づくり
第30話 2012年3月 土作りの次は栄養を
第31話 2012年4月 予想外のスピード
第32話 2012年4月 太陽の恵みを取り込め
第33話 2012年4月 激論!父vs子
第34話 2012年5月 いつもの作業風景
第35話 2012年5月 電気を通すために
第36話 2012年6月 世代交代?
第37話 2012年6月 無視できない存在
第38話 2012年6月 備えあれば
[2012/09/28 23:15 ] | 農園再生プロジェクト | コメント(0) | トラックバック(0) | page top
第38話 2012年6月 備えあれば
第38話 2012年6月 備えあれば

第37話 2012年6月 無視できない存在のハイライト】
害虫をはじめとする虫の存在も農園を全滅に追い込む可能性のある脅威なのだった。
農家が戦う相手は意外と多いのである。最大の強敵が近づいてくるのであった。


―――2012年 6月―――

早い台風が発生し、屋久島に近づいていた。

息子:ハルオjr:「何回台風情報とにらめっこしてんの?見ても変わらないって。」


父:ハルオ:「少し進路がずれただけでも影響が変わってくるんだ。風向きでも全く違う。」


解説:屋久島の農家にとって、最大の脅威と言えば台風です。大きくて強い台風が直撃した場合、最悪農産物が全滅することもあります。天災なのである程度は仕方ない事とはいえ、農家の心配は尽きることはありません。


子:「だからって、台風の進路を変えられるわけじゃないでしょ。」


父:「それは、そうなんだがな。さて、台風も近づいてきていることだし対策にいくか。」


―――農園―――


子:「なにするの?」


父:「幼木が強風で折れてしまわないように、鉄の棒で補強、固定する。」


子:「了解。」


父:「体重をかけて、ぐっと深くまで棒を差し込んでくれ。」


子:「分かった。」


父:「棒を差し込んだら、木に傷をつけないように注意しながらひもで固定していくからな。」


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―――数時間後―――
子:「さて、これで全部の固定が終ったね。」


父:「明日の台風が影響がないことを祈るしかないな。」


―――翌日 午後―――

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子:「台風も過ぎ去ったし、今回は直撃をまぬがれたみたいだしよかったよかった。」


父:「見回りの結果も特に影響はなかったみらいだしな。」


子:「ああ。」


父:「ただ、潮があがっていたようだから水をかけておかないとな。」


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解説:台風が来ると海水が風で吹き上げられます。海に近い農園はその潮をかぶることになります。すると枯れてしまったり、悪い影響があるのです。だから、スプリンクラーなどで水をかけて塩を洗い流してしまいます。


父:「これでよし。ただ、台風のシーズンはこれからだからな。」


子:「秋までは台風との戦いが続くわけだからなー。」



最大の敵、台風に備えた父子。今回は直撃をまぬがれたが、脅威であることに変わりはないのである。
梅雨が続く6月。ハルオJrに新たな情報がもたらされるのであった。
次回「第39話 ハルオJrへの相談」に続く。


登場人物


yoshimasa父:ハルオ


tonmo201110 (3)息子:ハルオjr



バックナンバー
第1章 「農園再生導入編」まとめ(第1話~第14話)
第2章 「プロジェクト始動編」まとめ(第15話~第25話)

第26話 2011年12月 第一号モニター
第27話 2011年12月 平地と斜面
第28話 2011年12月 息子よ、サポートメンバーは集まっているか
第29話 2012年3月 こだわりの土づくり
第30話 2012年3月 土作りの次は栄養を
第31話 2012年4月 予想外のスピード
第32話 2012年4月 太陽の恵みを取り込め
第33話 2012年4月 激論!父vs子
第34話 2012年5月 いつもの作業風景
第35話 2012年5月 電気を通すために
第36話 2012年6月 世代交代?
第37話 2012年6月 無視できない存在
[2012/09/22 17:18 ] | 農園再生プロジェクト | コメント(0) | トラックバック(0) | page top
第37話 2012年6月 無視できない存在
第37話 2012年6月 無視できない存在


第36話 2012年6月 世代交代?のハイライト】
10歳年下のしっかり者ナカラセくんに先を越されたような気がして気持ちばかりあせるハルオJr。
そんな気持ちとはうらはらに日々の作業は続いていくのであった。


―――2012年 6月―――
父:ハルオ:「このやろがっ!このっこのっ・・・!」


息子:ハルオjr:「どうした?大きな声出して。」


父:「テッポウがいた・・・!」


子:「ええー!?テッポウ!!?…本当だ。」


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解説:テッポウとはゴマダラカミキリムシのことです。なぜテッポウと呼ぶのかは分かりません。
この虫はぽんかん、たんかんの木に卵を産みつけます。卵は木の中で孵化し、幼虫は木を食べて成長します。
この時食べられた木は弱ってしまいます。最悪の場合枯れてしまう事もあります。
つまり、ぽんかん、たんかんの害虫で中でもタチが悪いので農家はこの虫を目の敵にしているというわけです。



子:「コイツはタチが悪いからな~。」


父:「ボーっと見てないで、見つけたらちゃんと駆除しといてくれよ。」


子:「分かった。」


――――――――――

子:「うおっ!?」


父:「どうした?」


子:「びっくりしたー。ハチの巣があったよ。」


父:「デカいのか?」


子:「いや、まだ3匹くらいしかいない小さいヤツ。」


父:「危ないから、ちゃんと潰しとけよ。」


子:「了解。」


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解説:ぽんかん、たんかんにとっては害虫ではありませんが、木にはよくハチが巣を作ります。アシナガバチであることが多いです。ちなみにハルオJrも今年1回刺されました。
農作業を行うに当たって危険なので見つけたら、殺虫剤で蜂を駆除し、巣を潰してしまいます。



子:「しかし、果樹園は虫にとって住みやすい場所なんだな。」


父:「果樹園が住みやすいのか、屋久島が住みやすいのかは分からんがな。」


子:「いずれにしても、こっちにとっては敵ってことだけど。」


父:「そうだな。本当は共存できればそれに越したことはないけど、無理だしな。なんとか虫が近づかない方法でもあればいいんだが。」


子:「うーん。それまでは対症療法しかないってことか・・・。」


最悪の場合、果樹園を全滅に追い込む害虫や危険を伴う虫との戦いも農業の一環なのであった。
農家が戦う相手は意外と多い。父子は6月にして最大の敵を迎え撃つことになるのであった。
次回"第38話 2012年6月 備えあれば"に続く。


登場人物


yoshimasa父:ハルオ


tonmo201110 (3)息子:ハルオjr


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第1章 「農園再生導入編」まとめ(第1話~第14話)
第2章 「プロジェクト始動編」まとめ(第15話~第25話)
第26話 2011年12月 第一号モニター
第27話 2011年12月 平地と斜面
第28話 2011年12月 息子よ、サポートメンバーは集まっているか
第29話 2012年3月 こだわりの土づくり
第30話 2012年3月 土作りの次は栄養を
第31話 2012年4月 予想外のスピード
第32話 2012年4月 太陽の恵みを取り込め
第33話 2012年4月 激論!父vs子
第34話 2012年5月 いつもの作業風景
第35話 2012年5月 電気を通すために
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[2012/09/07 20:54 ] | 農園再生プロジェクト | コメント(0) | トラックバック(0) | page top
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