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第31話 2012年4月 予想外のスピード
【第30話 2012年3月 土作りの次は栄養をのハイライト】 土づくりを終えた父子は、土壌の改良を経て栄養分の補給を行い、木が成長する基礎を作った。 それは、農業は科学的に行われているという側面を教えてくれる作業工程だった。 次は環境整備…と思いきや、息子ハルオJrから報告があるという。 ―――2012年4月初旬――― 息子:ハルオjr:「ちょっと報告しとくわ。」 父:ハルオ:「報告?なんだ??」 子:「うん。実は3月の末で目標だったサポートメンバー数100名を達成しました!!」 父:「何!?本当か?」 子:「本当!」 父:「おお…それはすごいな…。」 子:「でしょ!?正直言うとさ、7~8月くらいまでかかってなんとか100人集まれば御の字かな~、っておもってたんだ。」 父:「それが、たったの4か月で…か。」 子:「そう!こちらが思っているよりも耕作放棄地問題…というか、農業問題についての世間の関心度が高いってことだろうね。」 父:「そうだろうな。TPPとかって話題になってるしな。」 子:「そうだね。それももしかしたら追い風だったかも。」 父:「そうだな。」 子:「実はさ、まだサポートメンバーになりたいって言ってくれてる人がいるんだよ。」 父:「うーむ。ありがたい話だが、収穫量とのかねあいがあるからな。やっぱり、ここは当初の予定通り100名で締め切らせてもらうべきだな。」 子:「せっかくの申し込みだから、もったいないような気もするなぁ。」 父:「いや。ここで色気を出してしまってはダメだ。増やしたはいいもののたんかんを送れないという事態になってしまっては元も子もないからな。」 ![]() 解説:屋久島農園再生プロジェクトはサポートメンバーを募集しています。 サポートメンバーには1人5000円のサポートをいただき、父子がその資金を元手に耕作放棄地の再生を行います。 サポートメンバーには、再生農園で収穫した屋久島特産の「たんかん」をお送りします。 関連エントリ:第17話 本当に得たいものは得難い存在 第19話 プロジェクトの骨子 子:「それはそうだね。残念だけど。」 父:「しかし、ありがたい話じゃないか!これは是が非でも農園再生を成し遂げなければならんな。」 子:「そうだね。そして、最終目標までなんとか持っていきたいね。」 ![]() 解説:農園再生プロジェクトの最終目標とは、①農業による雇用の創出、②新規就農者支援による屋久島の農業の継続と盛り上げ、③地域の農家との連携、④地域活性化です。 とてつもなく遠く大きな目標ですが、一歩一歩近づいていきたいと考えています。 関連エントリ:第21話 プロジェクトからの広がり 近未来編 第22話 プロジェクトからの広がり 将来の夢編 第23話 プロジェクトと父の夢の接点 父:「そうだな。よし、じゃあ気合も入ったところで環境整備に取り掛かるぞ。」 屋久島農園再生プロジェクトは想定外のスピードで目標である100名のサポートメンバーの獲得に成功した。 それは、世間の農業問題に対する関心度の高さを実感させるものだった。 まだまだ始まったばかりであるが、プロジェクトの確実な前進を感じ取った父子。 次の作業である環境整備に取り掛かる。 次回"第32話 2012年4月 太陽の恵みを取り込め"に続く。 登場人物 ![]() ![]() バックナンバー 第1章 「農園再生導入編」まとめ(第1話~第14話) 第2章 「プロジェクト始動編」まとめ(第15話~第25話) 第26話 2011年12月 第一号モニター 第27話 2011年12月 平地と斜面 第28話 2011年12月 息子よ、サポートメンバーは集まっているか 第29話 2012年3月 こだわりの土づくり 第30話 2012年3月 土作りの次は栄養を スポンサーサイト
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第30回 2012年3月 土作りの次は栄養を
【第29話 2012年3月 こだわりの土づくりのハイライト】 一年の始まりはまず、土づくりから。農園に堆肥を撒いた父子。 次は樹木に栄養分を与えて、木を活性化していく。 ―――2012年3月末――― 父:ハルオ:「さて、肥料をやる前に、だ。」 息子:ハルオjr:「肥料をやらないの?」 父:「やるんだがな、モノには順番ってものがある。まず、土の性質を改善する。」 子:「?」 父:「どうしても、管理栽培をしていると土が酸性に偏ってしまうんだ。これは根っこにあまりよろしくない。」 子:「へー。」 父:「根っこによくない、ということは養分を吸い取る力が落ちてしまうってことだ。この状態でいくら肥料をやっても木は吸わない。だから、酸性の土を中和して、中性にする。」 子:「そのための土壌改良剤ってことか。」 ![]() ![]() 父:「そうだな。じゃあ、例によって撒いていくから、お前は…。」 子:「はいはい。運びますよ。」 ![]() 解説:この土壌改良剤は鉱石からできています。働きは土を中性に保つことです。根っこの周りにまんべんなく薄く撒いていきます。 一袋あたり20kgほど入っていて、それを肥料おけに入れて撒いていくのですが、中身が粉砕した鉱石なので少量でもかなり重いです。また、粒子が非常に細かいのでマスクをしています。特に吸い込んだからといって身体に影響はありませんが、埃っぽいので。 ―――2012年4月初頭――― 父:「よし、そろそろ配合撒いていくか。」 ![]() 解説:配合とは配合肥料=化学肥料のことです。より効率的に養分を吸収させることが出来る肥料、と言えます。有機物と無機物が両方入っていたり、有機物だけだったりします。 もっと純粋に栄養分だけ与える場合、液体肥料を使うという選択肢もあります。 子:「了解。」 解説:植物のメカニズムとして根で吸収できるのは地中の水に溶け込んだ無機物のみ(主に窒素、カリウム、リン)である、ということがあります。 堆肥などの有機肥料にも栄養分は含まれていますが、バクテリアが分解し無機物にして、地中の水に溶け込んで初めて根っこは吸収ができる、ということです。ですので、栄養が行き渡るまでに非常に時間がかかります。 しかも、植物が必要とする栄養分というのは、それぞれの植物で決まっています。ですので、最終的に吸い上げられる養分に差はほとんどありません。 単純に養分の吸収だけを考えた場合、液体肥料>配合肥料>有機肥料の順に効率が良いといえます。 それでも土壌や肥料などで違いが出てくるのは、吸い上げる効率、十分に吸い上げる環境、微量に吸い上げるミネラル分の違いなどがそれぞれで違ってくるからです。 どの肥料をどの程度使うかはケースバイケースで、科学的にいうと吸い上げる養分に最終的な差はあまりないので、どの肥料が絶対に良いとは単純にいえません。 ベテラン農家は経験則の中で、この判断を行っているということです。 ―――数日後――― 父:「終わったな。土壌を作って養分を撒いたわけだから、これで吸収をちゃんとしてくれれば多少は木の回復も進むだろう。ただ根が弱ってるだろうからすぐすぐに、というわけにもいかんだろうが。」 子:「ああ。」 父:「次は環境整備だな。」 子:「その前に、ちょっと報告をしとくわ。」 土づくりに始まり、土壌の改良、養分の散布と木が回復、成長する環境を作った父子。 次は環境整備を行い、さらに回復を推し進めていく。 …が、息子からの報告があるという。それは一体? 次回"第31話 2012年4月 予想外のスピード"に続く 登場人物 ![]() ![]() バックナンバー 第1章 「農園再生導入編」まとめ(第1話~第14話) 第2章 「プロジェクト始動編」まとめ(第15話~第25話) 第26話 2011年12月 第一号モニター 第27話 2011年12月 平地と斜面 第28話 2011年12月 息子よ、サポートメンバーは集まっているか 第29話 2012年3月 こだわりの土づくり |
第29話 2012年3月 こだわりの土づくり
【第28話 2011年12月 息子よ、サポートメンバーは集まっているかのハイライト】 プロジェクトは幸先のいいスタートを切った。それはいろんな人の協力を得ればこそである。 感謝の気持ちとプレッシャーを胸に秘めつつ、収穫最盛期が終わる3月後半、いよいよ本格的な農園再生が始まる。 ―――2012年3月――― 父:ハルオ:「さて、たんかんの収穫も終わった事だし、いよいよ本格的な再生に取り掛かるとするか。」 息子:ハルオjr:「さすがに最盛期には手が回らなかったからね。」 解説:12月後半から3月中旬まではぽんかん、たんかんの収穫、出荷の最盛期になります。ハルオJrは(有)原の里の業務として「げじべえの里通販」の集荷、出荷業務も行っていたため、農園再生に関する時間を割くことはできませんでした。なので、前回から今回の話は3ヶ月ほど時間が経過しています。 子:「で、何からやるの?」 父:「うむ。やっぱり施肥からだな。」 解説:施肥(せひ)とは肥料を撒くことです。 父:「というわけで、まずは堆肥だな。土づくりが基本だからな。じゃあ、運ぶか。」 子:「おう。」 ―――1時間後――― ![]() 父:「よし。」 子:「やっぱ、小清水(こしみず)使うんだ。」 ![]() 解説:小清水(こしみず)とはBM小清水菌のことです。北海道小清水町で発見されたこの菌は、有用微生物として活用されています。土壌の活性化に強い効果を持ち、農薬などの使用を最小限度に抑える効果が期待できるという事で全国で使用されています。 屋久島でも屋久島小清水研究会が立ち上げられ、主品目であるぽんかん、たんかんの栽培に使用されています。といっても、屋久島では二戸の農家しかほとんど使っていません。我が家はそのうちの一戸ということになりますね。 小清水液という液体がおおもとになりますが、これは飲んでも大丈夫ですし、飼料に混ぜて使う畜産農家もいるほどです。傷につけたら治りが早かったなどという体験談もあることから、酵素に近い作用があるのかもしれません。 我が家ではこの液とBM小清水入りの堆肥を使って栽培を行っています。 BM小清水を使った農法は「小清水農法」と呼ばれています。 父:「ああ。それがイイと思って使い続けてるからな。」 子:「こだわりってことね。」 父:「じゃあ、お前はこれを木の根元に振り分けておいてくれ。そしたら、コッチが撒いていくから。」 子:「了解。」 ![]() 解説:堆肥は非常に軽いです。1袋12~13kg。写真で見るととてつもない重労働に見えますが、案外そうでもありません。運搬機や一輪車を使ってもいいのですが、この方が作業が早いので今回は使いませんでした。ちなみに、農園を全て合わせて今年は300袋ほど堆肥を使っています。 ![]() 解説:堆肥を撒く時のポイントは根元ではなく、その周辺に撒くということです。基本は枝の外周の真下。理由は、そのあたりの根が一番栄養を吸収するからです。 ―――2日後――― 父:「よし。終わったな。」 子:「ああ。」 父:「再生のための土台はこれでいいだろう。」 子:「あとは、様子を見ながらやるしかないね。」 父:「そうだな。」 一年の始まりは堆肥からだった。こだわりの小清水堆肥。 このこだわりが、実を結ぶ日を信じて今はやるしかないのである。 次回"第30回 2012年3月 土作りの次は栄養を"に続く。 登場人物 ![]() ![]() バックナンバー 第1章 「農園再生導入編」まとめ(第1話~第14話) 第2章 「プロジェクト始動編」まとめ(第15話~第25話) 第26話 2011年12月 第一号モニター 第27話 2011年12月 平地と斜面 第28話 2011年12月 息子よ、サポートメンバーは集まっているか |
第28話 2011年12月 息子よ、サポートメンバーは集まっているか
【第27話 2011年12月 平地と斜面のハイライト】 農園再生体験モニターテストによって、普段農業をしている者では思い浮かばない意見を聞いた父子。 しかし、発見はまだまだ始まったばかりである。 テストはさておき、肝心のプロジェクトの進捗は…? 2011年12月末頃 父:ハルオ:「そういえば、アレはどうなっている?サポートメンバーは。」 息子:ハルオjr:「それが…。」 父:「どうした?やっぱり思わしくないのか?まあ、初めての試みだしな。」 子:「…それが、すごいよ!続々サポートメンバーが集まってる!!」 父:「何!本当か?」 子:「うん。プロジェクトは12月にスタートしたばかりだというのに、すでに募集人数の50%超えたよ!!」 父:「え?お、おお!それはすごいな!!」 子:「だよな!正直びっくりだよ。それもこれも下ン牧さんのおかげだけどね。」 父:「確かに。下ン牧さんの助力がなければ、ここまでスタートであつまらなかっただろうな。」 子:「そうだね。それで、メンバーは関東と関西の都市圏が多いのが面白いね。」 父:「逆に興味があるのかもしれないな。」 子:「…ここまで勢いがあると、プレッシャーにもなるね。」 父:「ああ。賛同者がたくさんいるわけだからな。無様なマネはできんな。」 子:「…こんなにうまく行っていいんだろうか?って逆に心配になるし。」 父:「あまりに順調だしな。ただ、これはあくまでもスタートにすぎん。本当に目指すところはまだまだ先だからな。」 子:「それは確かに。」 父:「期待を裏切らないように、頑張るしかないな。ここから正念場だ。」 屋久島農園再生プロジェクトは幸先のいいスタートを切ることが出来た。 ぽんかんとたんかんの収穫が終わる3月後半。 いよいよ本当の意味でプロジェクトが動き出すのである…! 次回"第29話 2012年3月 こだわりの土づくり"に続く。 登場人物 ![]() ![]() バックナンバー 第1章 「農園再生導入編」まとめ(第1話~第14話) 第2章 「プロジェクト始動編」まとめ(第15話~第25話) 第26話 2011年12月 第一号モニター 第27話 2011年12月 平地と斜面 |
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