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屋久島農園再生プロジェクト

第17話 本当に得たいものは得難い存在
第17話 本当に得たいものは得難い存在

第16話 父よ、「CSA」を知っているか?のハイライト】
『CSA』とは耕作・栽培前に会員から資金を得るという農業支援型の経営手法だった。
しかし、そのままでは、屋久島の環境には馴染まない。
そこで、屋久島風にアレンジすればいいと息子は言う。
アレンジの本当の狙いは「会員のとらえ方」だという息子の真意とは!?


父:ハルオ:「本当の狙いは『会員』のとらえ方を『屋久島風』に変えるってことか?」


息子:ハルオjr:「うーん。半分正解。『屋久島』にプラスして『農園再生』風に変える…というか考えるってことなんだよ。」


父:「さっぱり意味が分からないんだが。」


子:「えーとさ、前に『夢がある』って言ってたじゃない?」


父:「ああ。農村をまるごと楽しんでもらう企画をやりたいというのと、この農園再生の輪を広げたいというのが父さんの夢だ。」


解説:屋久島の南部にある原集落は屋久島を代表する農村です。また、近隣に観光資源がいくつもあります。さらに、飲食店や民宿、各種ガイドなどもあります。そういった強みを十分に引き出すために「農村まるごとツアー」をしたいというのが父の1つの夢です。
また、現在取り組み始めた農園再生の輪を広げていきたいというのも、もう1つの夢なのです。
参照:第7話 父の夢



子:「それ。それのさ、農園再生の輪を広げるってことが大切だと思うんだよ。」


父:「それは、もちろんそうだ。1つの農家だけではどうにもならん問題だからな。」


子:「うん。でもさ、広げるイメージが農園再生に取り組んでいれば、それを知る人が出てくる。知る人が出てくればその中から興味を持つ人が出てくる。興味を持つ人が出てくれば、参加したいと思う人が出てくる…かもしれない。っていう感じでしょ?それにも違和感があったんだよ。」


父:「どういうことだ?」


子:「違和感は2つ。1つは、その方法だと周辺に住んでいる人にしか分からないでしょ?輪を広げる範囲がどうしても屋久島の中になってしまうじゃない。別に輪を屋久島に住んでいる人に限定しなくてもいいんじゃないか?って思ったのよ。」


父:「…もう1つは?」


子:「もう1つは、自然に知れ渡る前に、こちらから『こんなことしてますよー』って言ってもいいんじゃないか?って思ったこと。」


父:「でも、どうやって?」


子:「さっき言った『CSA』の会員のとらえ方なんだけど。お客様としての会員を集めるんじゃなくて、いっしょに農園再生に取り組んでくれる人を募集したらどうかな?」


父:「いっしょに農園再生に取り組む?」


子:「うん。農園再生に興味を持ってくれて、真面目にこの問題に関心がある人を募集するんだよ。それも地域関係なく。
だけど、距離や時間や交通費とかの問題で実際に屋久島に来ていっしょに作業をするのは難しい。専門性が高いから、そっちの問題もあるし。だから、実際の作業は父子でやる。
ただ、我が家にはこの農園再生をずっと続けられるだけの資金力は正直言ってない。だから、1人5000円で農園再生を支援してくれませんか?って問いかけてみるんだよ。」


父:「…。」


子:「もちろん、ただ5000円もらいました、ありがとうじゃ支援をする人もつまらないし、こっちだってただ恵んでもらうわけにもいかない。いっしょに再生させた農園の『たんかん』なんだから、支援してくれた人に再生農園で収穫できた『たんかん』を送るんだ。」


父:「『CSA』とは似て非なるものだな。」


子:「うん。ここで重要なのは、農園再生をある程度『業』として成立させることだと思うんだ。もし、農園再生の作業に参加したいという人がいたとしても、基本的に資金は手出しです、じゃなかなか踏み込めない。父さんは踏み出せても、オレは無理だと思った。」


解説:ここでいう「業」とは「なりわい」のことです。それは収入を得て生活をするということを意味します。農業は「農」を「業」として行うということで、「業」が成り立たなければそれは「農業」とは呼べないのだ、と父は言いました。
参照:第8話 農と業と農業



父:「それが、支援してくれる人がいて、農園再生の運営自体はなんとかなる。父子で得たノウハウを教えることが出来るって形になれば、本当の意味での広がり…規模的なものも見えてくるな。我が家で出来る範囲だけやったってたかがしれているからな。」


子:「うん。すぐには無理でも将来的にそうなれるシステムが大切だと思うんだよね。」


父:「しかし、年間1人5000円というのは?」


子:「ああ。農園再生って話的にすごく面白いと思うんだよね。やぶのようになっていた所が農園らしくなって、収穫できる量も少しずつ増えていって。記録を写真に撮って行ったら分かりやすいし。
それで、興味を持つ人がいてさ、支援をしたいって思ったとするじゃない。だけど、あんまり高いと参加したくてもしづらいなーって思うじゃない。で、自分が気軽に面白そうだから支援してみようかって思える金額を考えたら年間で5000円くらいだったんだ。」


父:「なるほど。参加しやすさは大事だな。」


子:「でしょ?」


父:「ふむ。それで『たんかん』はどのくらいの量を送るんだ?」


子:「うん。収穫量と金額から考えると1人5kgだと思う。」


父:「妥当なところだな。で、何人くらい募集するんだ?」


子:「2012年に収穫できる量はどれくらい?」


父:「ほぼゼロだな。」


子:「じゃあ、2011年中に募集をして2012年に送るっていうのは無理だね。」


解説:屋久島たんかんは、2月中旬~3月中旬が収穫時期です。3月から1年の栽培のサイクルが始まり、翌年に収獲という流れになります。

父:「ああ。支援だけしてもらって何もないというのは、申し訳ないし、こっちも気持ちよく仕事ができないな。」


子:「じゃあさ、2013年に最低限収穫できる量は?どんなに失敗しても間違いなく収穫できるっていうライン。」


父:「間違いなく出来るのは500kgだな。」


子:「じゃあ、1人5kgとして100人だね。」


父:「ああ。必要な金額からじゃなくて、送ることが出来る量から人数を設定するわけだな。」


子:「その後は、間違いなく収穫できるっていうラインが上がっていくわけだからそれに応じて募集人数を増やしていく。それが増えるまでが踏ん張りどころかな。」


父:「その案で行けば、農園再生の作業の方に参加したいという人があわられた頃には収穫量も支援してくれる人の人数も増えているというわけだな。」


子:「うん。運営的にも安定するでしょ。」


父:「しかし、よく考えたな。なかなか面白い案だと思う。若いから出る発想かもしれんな。」


子:「いや。『たんかん』を送るだけじゃダメなんだよ。そこがポイントなんだ。」


息子の真意はお客さんとしての会員を集めるのではなく、農園再生に興味を持ち、一緒に再生を行ってくれる人を募集するということだった。
それは、農園再生の広がりの持たせ方のイメージを拡大させることであった。
しかし、支援をもらって「たんかん」を送るだけではダメだという。息子のいうポイントとは?
次回"第18話 肝心なのは共有すること"に続く。


登場人物


yoshimasa父:ハルオ


tonmo201110 (3)息子:ハルオjr


バックナンバー
第1章 「農園再生導入編」まとめ(第1話~第14話)
第15話 農園再生の弱点
第16話 父よ、「CSA」を知っているか?
[2012/02/24 00:38 ] | 農園再生プロジェクト | コメント(2) | トラックバック(0) | page top
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コメント
「たんかん」を送るだけじゃダメですね〜ブログやHPで宣伝してくれてこそ農園再生に効果を発揮するはずですから、広告をユーザーにしてもらうのは大きいですね〜広告費というのは凄くお金がかかりますから。
とすると最後は、配送経費(便数やコスト)の問題が出てくるかな・・・(本州以外の県が一番不利益を被っている点はここですし)。
[2012/02/25 23:56] | URL | 幸運がよってくる #qbIq4rIg [ 編集 ] | page top
ご指摘の通りです。たしかに広告費はバカになりません。
このプロジェクトは「知ってもらって」初めて動き始まります。
難しいのは、この話で書いたように「一緒になって農園再生を考えてくれる」
人たちにどのように「知ってもらう」ことが出来るのか?という点です。
そのための第一歩となることを次回で書きたいと思います。

また、ご指摘の輸送費は大きな障害です。
本州とそれ以外という点の他に「離島」というハンディがあるからです。
通販で買い物をする時に、「離島は別途送料」がかかることもしばしばです。
それも出来うる限り安く抑えるように工夫しなければなりません。

まだまだ、クリアしなければならないことがたくさんです。。。
[2012/03/03 23:49] | URL | ハルオjr #- [ 編集 ] | page top
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